はじめに
今回は、日本最古の温泉地として知られる愛媛県松山市・道後温泉にある「道後hakuro」をご紹介します。実際に宿泊してみて、伝統と革新が融合する独特の魅力を肌で感じました。旅好きとしては見逃せないポイントが満載でしたので、周辺の歴史文化からホテルの設備、私が体験した感想までたっぷりお伝えします。
はじめて道後hakuroの外観を見たときは、まるで美術館のようなスタイリッシュさに驚きました。シルバーグレーの外壁が洗練された印象を放ち、夜になるとライトアップが映えて、一気にモダンな雰囲気へと変わります。道後温泉と言えば木造建築のレトロ感がイメージされがちですが、こんなに都会的なホテルがあるのかと目を奪われました。館内へ足を踏み入れると、スタッフの方が笑顔で迎えてくれたので、気取らずにリラックスできる空間でした。
ホテル周辺地域の概要・歴史や文化
道後温泉は日本書紀や万葉集にも登場するほど歴史の深い温泉地といわれています。約3000年の歴史を持つという伝説もあり、白鷺(しらさぎ)の伝説や、夏目漱石の『坊っちゃん』など、数々の物語がこの地を舞台に受け継がれてきました。象徴的な存在である道後温泉本館は国の重要文化財に指定されており、その木造三層楼の建築は一見の価値があります。夜になるとやわらかな光に包まれて幻想的な姿を浮かび上がらせ、当時の賑わいや文化の奥深さを想像させてくれます。
商店街には地元名物を扱う店が立ち並び、射的やスマートボールといった昔ながらの雰囲気も残っています。古くから続く温泉街らしいレトロな雰囲気が残りつつ、観光客が気軽に楽しめるスポットが点在しているのが魅力です。私も浴衣姿で散歩しながら、道後温泉特有のあたたかい人情に触れることができました。
ホテル概要と魅力
そんな歴史と文化が色濃く息づく道後温泉街のなかで、道後hakuroは新しいコンセプトを打ち出しています。外観はシンプルでクールなデザインを採用し、エントランスに入ると天井の高いインダストリアル風のロビー空間が広がります。カフェのように気軽にくつろげるソファやテーブル席があり、コーヒーを片手に読書をしたり、旅仲間と談笑したりと自由度が高いのが特徴です。近年ではワーケーションやリモートワーク目的の利用者も増えているようで、ロビーやラウンジスペースでパソコンを開いて仕事をしている方も見かけました。
ホテル全体として「もっと自由に旅を楽しんでほしい」という姿勢を感じます。和風旅館ならではの厳かな雰囲気や決められた夕食時間などもありません。道後温泉の外湯を巡ったり、周辺の飲食店へ出かけたり、夜遅くに戻ってきてからでも温泉に浸かれるといった、カジュアルさや柔軟さが魅力的です。若い世代や海外からの観光客、一人旅やビジネス利用など、さまざまな人がそれぞれのスタイルで滞在を楽しんでいる印象を受けました。
客室タイプと設備
客室は全86室と比較的大規模な部屋数で、スタンダードダブルやツイン、広めのスペリアツイン、バリアフリーに配慮したユニバーサルツインなど、幅広いニーズに対応しています。お部屋はコンパクトながら、USBポートとコンセントがベッドサイドにまとめられていて便利です。部屋によってはシャワーブースのみの場合もありますが、館内には大浴場があるので特に不便を感じませんでした。
清潔も行き届いており、コインランドリーや自動販売機が設置されているので、長期滞在やワーケーションでも快適に過ごせると思いました。
道後hakuroの大浴場は男女別で、広めの内湯と露天風呂があります。館内にいながら道後温泉からの引き湯を贅沢に楽しめるのが最高の特権です。夜はライトアップされた小さな庭を眺めながらしっとり湯浴みし、朝は朝日を感じながらスッキリ目覚める、そんな時間の使い方が自由にできるのは宿泊者だけの特典ですね。脱衣所にはパウダーコーナーやドライヤーが整い、アメニティも充実しているため、余計な荷物を持っていかなくてもOKなのはありがたいポイントでした。
私が宿泊した際には、夜に外湯めぐりをしてからホテルに戻り、大浴場に入り直すという贅沢な入り比べを楽しみました。街中の浴場もいいのですが、やはり好きなタイミングで何度でも温泉に入れるのは宿泊者専用の大浴場ならではですね。遅い時間帯にもパラパラと宿泊客が訪れていましたが、混み合うことはなく、ゆったりした気分で過ごせたのは嬉しかったです。
食事・レストラン情報
道後hakuroでは夕食が付かない分、周辺の飲食店を存分に楽しめます。愛媛の郷土料理といえば鯛めしやじゃこ天、みかんを使った料理が定番。道後温泉街の居酒屋やレストランを巡って、地酒と一緒に味わうのも旅ならではの楽しみですよね。夜遅く戻ったときは、ホテルのラウンジで夜食に鯛茶漬けを注文出来るサービス(400円)があったのもありがたかったです。お風呂上がりの小腹を温かい出汁で満たせるのは、ちょっとした幸せでした。
朝食は1階のラウンジで洋食ビュッフェが提供されます。焼きたてパンやクロワッサン、フレンチトースト、サラダ、フルーツ、ヨーグルトなど、多彩なメニューが並びます。スタッフが焼き立てをテーブルまで運んでくれるパンは香りも最高で、朝から食欲が刺激されました。コーヒー片手に、今日の予定を考えたり、道後散策の余韻に浸ったりと、ゆったりした時間を満喫できます。
周辺アクティビティ・観光スポット
道後温泉と言えば、外湯めぐりを楽しむ人が多いでしょう。風情ある道後温泉本館や新しい飛鳥乃湯泉、庶民的な椿の湯など、趣の異なる浴場を巡ってみるのも一興です。商店街には坊っちゃん団子やみかんジュース、じゃこ天など愛媛グルメを食べ歩きできる店が揃い、射的や昔ながらの遊びも体験できます。夜には浴衣姿の人々が行き交い、足湯でほっと一息つきながら会話が弾むなど、旅先ならではの楽しみがあることでしょう。
少し足を延ばせば伊佐爾波神社、湯神社、道後公園など歴史を感じられるスポットがあり、早朝の散策にはぴったり。路面電車を使えば松山市中心部や松山城、文学ゆかりのスポットへ行くのも簡単です。スタッフに尋ねるとおすすめコースを教えてくれたり、地元ならではの情報を得られるので、観光がいっそう充実するはずです。
取材してみて思ったこと
私が道後hakuroを訪れて特に感動したのは、伝統ある温泉街の中にありながら、まったく新しいスタイルの宿泊体験を提案していることでした。温泉旅館と言えば、畳の部屋に仲居さんがいて、夕食は会席料理というイメージがある方も多いと思います。もちろんそういう旅も素敵ですが、道後hakuroはモダンなデザインホテルの機能性と、温泉ならではの癒やしを両立させてくれます。館内に一歩入ると、スタッフの笑顔と明るいインテリアが疲れをほぐし、「ここなら一人旅でも気楽に過ごせそう」と感じました。
特に印象深かったのが、客室にあるレコードプレーヤーと自由に選べる音楽でした。夜になると照明を落として、レコードの少しレトロな音をバックに、湯上がりの身体をクールダウンさせる、そんな時間は想像以上に贅沢です。レコードから流れるジャズのやわらかいメロディが、部屋に漂う温泉の匂いと相まって、日常を忘れさせてくれました。外湯を巡ったり、近くの居酒屋で鯛めしを堪能した後、深夜に大浴場でゆっくり浸かるのも楽しみの1つですね。朝食は焼きたてパンを頬張りながら、次に行くスポットを考える、そんな自由な滞在が「温泉旅は敷居が高い」という印象をガラッと変えてくれました。
Reservation
交通アクセス:
道後温泉駅から徒歩約5分
松山空港からバスやタクシーで約30分
車の場合は松山ICから約30分
(近隣に有料駐車場あり)
住所:
〒790-0836
愛媛県松山市道後鷺谷町3-1
まとめ
道後hakuroは、古き良き道後温泉の文化と、モダンでカジュアルなホテルステイが見事に融合した魅力あふれる宿です。外観や客室のデザインから食事スタイル、スタッフの接客まで、従来の温泉旅館のイメージにとらわれない自由さがある一方、道後の源泉を贅沢に使った大浴場や周辺の外湯めぐりなど、温泉地ならではの醍醐味もしっかり満喫できます。一人旅やカップル、家族連れだけでなく、ビジネスやワーケーションにも対応できる柔軟さがありました。
特に私のように、一人で気ままに散策を楽しみながら温泉に何度でも入って過ごしたい人にはぴったり。レコードプレーヤーの音に包まれながら一夜を過ごし、翌朝は開放感のあるラウンジでビュッフェスタイルの朝食から旅が始まる、そんな非日常が、道後hakuroには詰まっています。次に訪れるときは連泊して、さらに道後の街を探検してみたいなと感じました。皆さんもぜひ、この新感覚の温泉ホテルを体験しに足を運んでみてください。伝統と革新の融合が生み出す不思議な魅力が、忘れられない旅の思い出になることでしょう。